全身麻酔に抗うと言う私の試みも文字通り無駄に終わり、手術は無事、瞬間で完了しました。
(実際には2時間程度だったそうです。)
全く意識が無かったので、とても深い眠りだったことが伺えます。
何事も無ければ目覚めも良かったのですが…
全身麻酔なので、自発呼吸が出来ません。
そのため、私の知らない内に気管に酸素を送るための器具が挿管されていました。
起こされたと同時にこの管を外されてから、地獄の始まりです。
喉の奥に入っているので、抜くと同時に咳き込みます。
この瞬間、手術の傷口に物凄い衝撃が走ります。
以降、痛みに耐えかねて気絶するまで痛みに耐えることになります。
挿管は麻酔が効いている間に抜いてくれ…なんて思っていましたが、麻酔から覚めなければ自発呼吸も無いわけで、このタイミングであるのは無理からぬことですね。
ストレッチャーに移され、病室に運ばれましたが、痛みで目が開けられませんでした。
ただひたすら痛く、とりあえずテレビで日本シリーズを点けてもらい、気を紛らわせるためにどちらが勝ってるかや、いまの時間等をその場にいる誰かに聞いていました。
急にランボーの詩を朗読してもらいたくなり、誰彼構わず要求しましたが、もちろん誰も朗読出来ません。
と言うか、ランボーなんて私も未だかつて朗読されたことはおろか、読んだことも無いのに。
どうにも痛みが治まらず、痛み止は既に射たれているとの事でしたが、追加で痛み止を入れてもらいます。
「座薬になる」と言われましたが、この際、恥も外聞もありません。
手術前はあれだけ剃毛と下剤を警戒していたのに、この無防備の様と言ったら。
それでもなお、痛みで呻いていましたが、そのうちどうにか弱くなり、少し眠れた気がしました。
しばらくして看護師さんから起こされます。
事前に説明は受けていましたが、立てるかどうか、歩けるかどうかを診てくれるためです。
看護師さんに支えられ、立ち上がった瞬間、一気に貧血に。
それと同時に、痛みが一気に消えました。
貧血と痛みから解放された気持ち良さで、とても立ってはいられません。
よほど顔が青ざめていたのか、看護師さんも慌てて私を寝かせます。
次に起きたときに必ず看護師を呼ぶように言われた事を境に、意識を失いました。
不意に目が覚めたのは4時頃だったかと思います。
トイレに行きたくなり、言い付け通りに看護師さんを呼びました。
立てることと歩けることを確認してもらいます。
痛みで眠れなくなるのは嫌だなと思いましたが、問題なく眠ることが出来ました。
翌朝、起床時間に目が覚めます。
痛みもいくらか治まり、静かにしている分には平気な程度になりました。
食事は食堂です。
術後の翌日でも容赦ありません。
自力で歩いて食堂に向かいます。
恐らく、リクエストすれば部屋まで持ってきて貰えたものと思いますが、歩けるならリハビリがてらに歩けと言う、病院のサイレントメッセージと受け取りました。
しかし、そこは剣道でドM精神を鍛えられただけあります。
弱音を吐かずに苦痛を貰いに行く事が、剣道の精神の真髄です!
…そうだっけ??
食事については美味しく、普通に食べられました。
トイレが不安でしたが、空腹には勝てません。
こうして手術から一夜明けましたが、思った事が2つ。
・手術後に着けられる緑色の酸素マスクのような物について
最近はあまりそう言うシーンは見ませんが、昔のドラマであったのは、主人公が苦しむあまり、緑色のプラスチックの酸素マスクを剥ぎ取ると言う物でした。
昭和世代は分かっていただけるかと思います。
あれは普通に酸素が流れています。
最初、痛みの軽減になるのかと思っていたのですが、違うと言うことが分かった瞬間、本当に無意識に剥ぎ取りました(笑)
・意識を失うように眠ることについて
立ち上がった瞬間の貧血と、何故かその時に痛みから解放されて、気を失うように眠りましたが…
あるいは死の瞬間と言うのは、こういうことなのかなと、いささか不謹慎ではありますが、そう感じました。
全身麻酔についても同じで、意識を失う瞬間は、本当に一瞬です。
このまま命を落としていたら、自分の死すら分からずにいる…恐怖と言うよりは謎。
深い謎を、病院のベッドの上で感じました。
次回、退院後から転移についてです。
緑色の酸素マスクとは、これです。
アマゾンで売ってました!
って、当たり前か…
これが入院前にあればなぁ・・・
まあ、見ていた所で咳き込むことに違いはなかったでしょうけれど。
4年前はyoutubeも、こんな画像が奇麗だったり、盛り上がったりしてませんでしたよね?