「オリンピック種目に剣道があるのは良いか悪いか」と言ったことがこの時期には上がりやすいので乗っかります。
剣道のオリンピック種目化には賛否あります。
個人的にはオリンピック種目にするには半世紀と言わないまでも、長い年月がかかるのではないかと思います。
剣道は世界大会がありますが、武道の枠組みは残っています。
オリンピック種目となると名実ともに国際スポーツとなり、その点でオリンピック種目化の賛否共に最も懸念されるのは「礼節が軽んじられる」ことです。
打って反省打たれて感謝と言う言葉がある、深すぎて謎な剣道は礼節が重要です。
立礼、蹲踞と省くことは出来ません。
竹刀を真剣と思えば、一本取ることは相手の死を意味します。
剣道にガッツポーズや過度の声援が無いことは、このことが背景にあるという考え方には納得です。
剣道も国際スポーツとなると剣を用いるフェンシングや、日本の柔道のように、礼法は共通のルールに変わると思われます。
ルールは時代と都合に合わせて変化します。
結果的には礼法は端折られ、節度は軽んじられることになるのではないかと思います。
この懸念が払拭されなければ、オリンピックの種目化は難しいと考えます。
懸念を払拭するには
- 剣道をどこまで理解して貰えるか
観衆が増えれば分かりやすいルールが求められ、当てれば一本とならない要件の複雑さなど改善を求める声や、正確で公正な判定と選手の権利の観点からビデオ判定の導入など、海外はもちろん、日本国内でも上がることは予想されます。
日本人であっても、剣道関係者以外に理念を理解して貰えるわけではないでしょう。
柔道は一時期レスリングと区別がつかないくらいポイント稼ぎが多くなり、審判の権限も低くなっていたように思います。
それが時を経て再び一本を重視するようになってきたようですが、それには柔道を理解する人たちが増えたからでは無いかと想像します。
政治的なことは分かりませんが、剣道を理解している方が辛抱強くIOCに説明し、各所に理解して貰う活動が必要になるだろうと想像します。
- 剣道は華やかな舞台に馴染めるか
オリンピックはお金からは切っても切れません。
選手がお金目的のみで競っている訳ではないでしょうけれど、オリンピック自体が商業目的であることは違いないでしょう。
ショービジネスでありショーアップが必要な世界で、どこまで武道を残せるか。
スポンサーがついて利権が絡み始めると、果たしてどうか。
勝つためには負けることも必要であると言う精神が、剣道には重要だと感じています。
勝った一本を振り返り、負けた一本を糧にする。試合を「試し合い」と解釈する国の武道です。
華やかな舞台を求めるスポンサーと、試合を「GAME」と表す海外勢に理解して貰えるか。
ということで
オリンピック種目となると全てを現行のままとはいかないでしょう。
国際化には競技に参加しやすくするために敷居を低くすることも求められます。
一度は地位が落とされ、そこから地道に価値を上げていく、柔道と同じような道を辿るかと思われます。
国際スポーツ化と一線を画すためには、国内外にどれだけ剣道を理解して貰える人を増やし、礼節をルールとせず、その理解をどこまで求めることが出来るか。
オリンピック種目にするとなれば、その道程はだいぶ長いと感じています。
こんなことにはならんでしょうけれど(自分画伯)
賛否についてはこちらにも詳しく。
剣道中毒先生「反対」
のの先生「賛成」