中々お目に掛かれない値段の見積もりを見て、恐怖に戦く。
強気な値段に裏打ちされた設備と、自分でいうのも何だけど人気上位の住環境。
であるなら、それも良いんじゃね?いやいや、とはいえ…
などと頭の中は行ったり来たり。
先のことばかり考えている頭の片隅に、少しだけ現実的なことが。
ローン…通るのか?
2億超え。
同時に担当営業氏の言葉。
「お母様は、ご資産はいかほどお持ちでしょうか?」
そりゃそうだ。聞かれますわな。
借地の権利は母(父は他界)なので、契約するなら母名義となる。
実際の資金はこっちが出すとは言え、それはそれ。
母の資産。年金婆さんにそんなものがあるわけない。父の事業の失敗の清算もあり、残っているものなど、果たして。
「株とか金とか投資信託とか。どうでしょう?」
ですよね。そうですよね。聞いちゃいますよね。
あ、馬券で増やしてます。え?いやだなぁ冗談ですよ、ドバイジョーク。あれ?知らない?
もちろん聞かれることは分かっていて、事前に我が家の家計状況もざっくりと伝えていました。
私自身も家計は私の収入のみで、妻は怪我と病が重なり、加えて妻の実家の介護と来ている。
子供二人が自宅浪人で国公立大に入ってくれたのは感謝しかない。妻のやりくりも天才的だ。お陰でローンも借金も無い。母の代わりに資金は出せる。
けれど。2億。そのローンの審査は通らない。だろう。
ひとまず母の資産は把握していないと濁して、この日は終了。
家族と相談して連絡しますと、そそくさと退散。
むむむ…
土地を買って、それを担保にして…なのか?
国の土地とはいえもちろん一括では払えない。まずは手付金がある。それを払っていくら残る?
2億の建物と20万超えの家賃。
営業氏のあの自信は、あの賃貸併用物件をみれば頷ける。とてつもなかった。
しかし、あれは土地の広さあってこそ(200坪以上はあったと思う)。ここはそこまで無い。
例えば我が家もこのハウスメーカーの賃貸併用住宅としたら、子供はどうだろう?
ここにずっと住む前提で話を進めるわけにもいかなかろう。
二人が出た後の将来、ここはどうなっているだろうか。
オーナーは即ち経営者。
子供二人のどちらかに、その気持ちでいてもらわないといけないかも知れない。
例えば20年後、想定よりも高いと思われる家賃を維持できるだろうか。
あるいは家賃自体は下がらないかもしれない。周囲の物価と連動して家賃が上がらなければ、資産価値が下がっていると言える。
不良物件となったら、どうか。
それは子供にプラスなのか?売るとなって売れるのか?
それなりに満足の物件で、想定通りの家賃であれば、あるいはここまで気負わなくて良いかも知れない。
提示されているのは満足を通り越した、畏怖の物件。
全室が年収1000万円超えをターゲットとしている家賃。
それに収支マイナススタートに加えて、経費等々含めて固定資産税も重なると、マイナス幅はどれくらいになるのか。
投資目的では無いので儲けは考えていない。
それだけに、月の地代より高くなりすぎては考えもの。
これは…重い。重すぎる。
土地か…やはりまずはこれか…
財産を持ってない側の者が急に持つ側になろうとしている、あるいは潜在的に持っているのだと自覚させれる。だからこんな落ち着かなくなっているのだ。
身の丈に合わない。とは言ったもの。
そう、それよね。