新幹線に乗り換えねば。
そこは勝手知ったる東京駅。というほど慣れてはいない。
が、しかし、この階段を上ってあそこをああ行って。おや?ここは…羽田空港。
そうか、新幹線じゃなくて飛行機に乗るんだった。そうだ、羽田だ。危ない危ない。
あれ?羽田空港のはずなのだが、なぜラウンジにいるのだ?いや、ここはホテルか。
カウンターに揃いの制服を来た三人の女性がいる。空港のはずだったのに、ホテルにいる。アパホテル的ではない、ハイクラスのホテルのラウンジ。客がいっせいに俺を見る。なんとも場違いな俺。
平静を装って、近場の下りエスカレーターに乗る。迷ったか?おかしいな。
下りのエスカレーターから本屋が見える。
そうだ、俺は友人の子供にプレゼントを買っていかねばならんのだ。
絵本なんて喜ぶか?まあ気は心という。本だって悪くない。
「やあどうも。私は快便の権威、○○博士です。」
楳図かずおと小泉純一郎を足したような、ロマンスグレーの紳士が親しげに話しかけてくる。
〇〇?ああ、聞いたことがある。はて、なんで知ったかな。
「どうもどうも。これ『タンポポ水』です。よろしければどうぞ。」
見れば本棚の端に『タンポポ水』『菜の花水』『ハルジオン水』などが置いてある。
「ああ…嫌ではないのですが、いまでなくても良いというか」断っても良いような、悪いような。
「そうですね、いつでも飲めるのでまたの機会に。これ、私の著作です。面白いですよ」
快便の権威はカンラカンラと笑って立ち去る。というかこの水、いつの水?飲めるの?
絵本の棚にある快便博士の本を手に取る。
内容は…どおくまんと相原コージを混ぜたような、ナンセンスギャグにエログロの境界ギリギリの、なんというかガロ的な雰囲気。
大人が読むには笑えるかもしれなけれど、子供にこれはどうなんだ?
「ふふふ、先生の本、どうですか?」
快便博士の秘書と名乗る女性が近づいてくる。
それほど美人でもなく、不細工でもなく普通でもなく、何とも表現の出来ない四十そこそこくらいの女性。
その四十秘書氏が俺の耳元で色々と艶っぽく囁いてくる。
「あの、官能小説家を目指していらっしゃるのですか?」
「あら、その才能、私にありそう?」
プレゼント用の絵本はどうしよう。このままでは遅刻してしまう。
これは夢か?
となると、俺が見た快便博士が書いた本の内容は俺が考えた内容と言える。
であるのなら、僕は才能があるのかも知れない。なんて思いました。
あれ?作文!?
変な初夢でした(自分画伯)