人生何でも二刀流!

ランニングと剣道の趣味二刀流。2011年頃から走り始めてるにも関わらず、ハーフは2時間切れずフルは未経験(2019年11月現在)。剣道は2016年に約四半世紀振りに復活のリバ剣。過去10年の経験がありながらも未だに中学のガチャガチャ剣道から卒業出来ず右往左往。剣風って何ぞ!?そうだ二刀だ!と決めたものの師範に言い出せず、所属の剣友会以外でちょぼちょぼ二刀をやったり辞めたり(笑)意識が高いブログに刺激を受けつつも自分に対してはトコトン甘い。ラン有り剣道有り癌有り、ちょっと筋トレ有りの落ち着きのない日常。

蕎麦奇譚(それはまるで「ちびくろサンボ」のような)

京橋、八丁堀、日本橋、茅場町と歩いてきて、私は途方に暮れていた。

無類のうどん好きを自認する私は、気に入りのうどん屋が休みであったため、すっかり昼食の当てを失ってしまっていたのである。

 

うどんとなれば何でも美味いが、関東でもうどんと言えば讃岐うどんに席巻されて久しい。

投手に例えると、讃岐うどんが本格右腕の速球派としたら、稲庭うどんは左の軟投派。

 

 

水沢うどんはセットアッパー。

きしめんは難癖のアンダースロー。

五島うどんがクローザー。

あのふにゃふにゃしたのは何だっけ?

ああ、伊勢うどんだ。

あれは外国人助っ人的な感じがする。

うどんなのに外国人とはなぁ。

逆にごりごりの武蔵野うどんはどうだろう?

一軍と二軍を行ったり来たりで、かつての澤村のような…

 

 

 

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そこまで想像を膨らませていたところに、私の視線が良い塩梅にくたびれた暖簾のある店を捉える。

 

蕎麦屋か…。

場所は茅場町から歩いて堀留町である。

 

堀留町で蕎麦。

そしてこの店構え。

江戸っ子的な趣があるが、残念な事に私はその粋が無い。

しかしいい加減、歩き疲れてもいる。

 

入ろうか迷っている所に、男が一人、店から出ていく。

出たという事は一人分は空いているに違いない。

意を決して暖簾をくぐる。

 

「いらっしゃい」

店内はカウンター席のみ、詰めに詰めて12席ほどであろうか。

店構えの割に店内は明るく、清潔である。

客は無言のまま、ただ蕎麦を啜っている。

 

先に出た男が座っていたであろう椅子に、私は座る。

……違和感。

普段あるものが、ここには無い。

そう、品書きが無いのである。

 

隣を見ても、店内を見ても見当たらない。

全てが時価?まさか。

あまりにも不相応な店に入ってしまったのだろうか。

 

 

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蕎麦屋というに相応しい店構えである(自分画伯)

 

 

 

「ごちそうさん。置いていくよ」

男が一人、500円玉をカウンターに置いていく。

「毎度どうも」

店主が応じる。

 

500円…そんなに安いのか?

慣れた感じを見るに、常連客の裏メニューか?

 

隠しきれない動揺を持って店内を見回し、ヒントを探る。

「お待ちどう」

そんな私にお構いなしに、目の前に盛り蕎麦が置かれた。

 

なるほど。

私は一人、合点する。

盛り蕎麦しか出さない店か。

それで500円。

今日日、蕎麦も500円じゃ名代富士そば界隈でしか目にしない。

やるじゃないか。

 

 

割りばしを取っていざという時に、また違和感を感じる。

蕎麦猪口には蕎麦汁が無い。

水が入っているだけである。

 

いや…と私は思う。

そもそもこれは、水なのか?

 

「あの…すみません」

「はい、なんでしょう」

意外に主は気さくである。

 

「汁が…ないようですが」

主はやや鼻を鳴らす。

「お客さん、うちは『水蕎麦』って言ってね。水につけて食べて貰うんですよ」

そんな事も知らないで来たのか…。

 

その空気。

言葉は無くとも、察する力は人にある。

 

「はあ…なるほど」

蕎麦の美味い不味いは分からないが、水で食わせるからには名店かも知れない。

 

 

気持ちを新たにしたところに、初老の男が勢いよく店に入る。

「いらっしゃい」

主はここでも気さくである。

「おう、蕎麦を一つな」

 

私は蕎麦を一口啜る。

うん、うん。

と思うが二の句は無い。

蕎麦通には美味いのだろう。

 

間もなくして、初老の男の前にも蕎麦と、例の水の入った蕎麦猪口が置かれる。

初老の男が店主に言う。

 

 

「おう、親父。汁がねえじゃねえか」

主は鼻を鳴らす。

「うちは『水蕎麦』って言ってね。水につけて食べて貰うんですよ」

「なんだ?蕎麦って言ったらな、真っ黒の汁があってのもんよ。ええ?蕎麦をつゆにちょいと浸けて、こうツルツルってやるのが江戸っ子よ。それじゃなきゃ嘘だぜ。水だかなんだか知らねぇけんど、何でも良いから汁持ってきなよ。なんなら醤油だってかまんねえんだから。黒けりゃ。」

 

 主が気色ばむ。

「食えねえって言うなら無理にとは言いませんぜ」

「なんだと?やるってんのか、こんちきしょう」

「客がやるってんならおあつらえよ。殴ってみやがれ。こんこんちきめ」

「なんだとぉ。殴れと言われて殴らない法はないわな。」

「やるかぁ?」

「やらいでか」

 

 

店内は大混乱である。

器は割れる。

寸胴は転がる。

笊が飛び交い蕎麦粉が舞う。

 

遂に二人は取っ組み合い、グルグル回り出す。

グルグルグルグルグルグルグルグル‥‥

グルグルグルグルグルグルグルグル‥‥

グルグルグルグルグルグルグルグル‥‥

 


いつしか二人の姿は大量の蕎麦粉になっていた。

私は蕎麦粉を近くにあった麻袋に入れて、500円玉を置いて店を出る。

 

私はその足でフランス人の愛人宅に行く。

そこで美味しい蕎麦粉クレープを作って、二人で仲良く食べたとさ。

 

 

おしまい。

  

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名作でございますな(自分画伯)

 

※言わずもがなフィクションです。

 

 

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